物理科学課題演習B6



担当: 量子光学研究室 ( ← 研究テーマはこちらを参照 )

     助教授 高橋義朗(404号室;内線3745)

     助手   熊倉光孝(402号室;内線3810)

     T.A.   北川昌明(402号室;内線3810)

     T.A.   山口敦史(402号室;内線3810)


【 概要 】

レーザービームには縦モード(光周波数)と横モード(空間的な強度、位相分布)という2種類の特性があります。これらの特性について論文の輪読を行い理論的に把握した後、以下の実験に取り組むことでより深い理解を目指します。
2年生までの授業・実験ではなかなか触れられなかった光学についての実験センス・技術の一部を体験、習得してもらうのも目的の一つです。 これらはレーザー冷却やレーザー分光など量子光学分野での最先端物理学研究にも応用されているものです。


【 進め方 】

(1)原著論文(英語)の輪読

  【概要】に挙げた英語の論文を読みながら、実験の実施に必要な光学、量子力学、電磁気学の基礎について学びます。英語の論文に慣れてもらうことや、論文を元に自分で調べたりまとめる経験をしてもらうことも目的です。

(2)実習

  上記の2つのテーマについて、実験配置の見積もりや実際の装置の組み立てを行い、実験の進め方や光学実験の基礎を習得する。実験センス・技術の習得だけでなく、“自分たちで”試行錯誤しながら進めてもらいます。

(3)発表会での発表とレポートの提出

  輪講で学んだことや実験内容・結果、考察などについて、実験グループごとに全員で分担してレポートにまとめてもらいます。また、これを元に、コンピューターまたはOHPを用いて1時間ほどの発表を各グループで行います。


【 課題内容 】

(1)光フィードバック法による半導体レーザーの光周波数制御とその応用


  市販の半導体レーザー素子と回折格子を用いたレーザーシステムを組み立て、回折格子による光のフィードバックを利用してレーザー発振周波数の安定化・制御を行う。調整後、原子の分光(飽和吸収分光法)を行うことで製作したレーザーシステムの性能評価を行い、出力レーザー光の絶対周波数安定度や周波数掃引範囲について調べる。また、観測された原子の吸収線へのレーザーの周波数ロックも試みる。

製作した半導体レーザーシステム → 


 ← 原子分光実験のセットアップ



(2)ラゲール・ガウス(LG)ビームの発生


  He-Neレーザーを用いて発生させたエルミート・ガウスHG00ビーム(軌道角運動量なし)に、以下の2通りの方法で角運動量を与え、軌道角運動量を持ったLGビームに変換する。

  i )  シリンドリカルレンズによる非点収差を用いたモードコンバータ
  
  ii )  透過型バイナリーホログラム
  
実験ではこれらの光学システムの構築・調整を行ってLGビームを生成し、得られたビームのパターンや干渉縞から波面における位相特異点の存在を確かめる。

組み上げた実験装置 → 


  ← 生成されたLGビームの形状と干渉縞



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Mitsutaka KUMAKURA (kumakura@scphys.kyoto-u.ac.jp)
Last Update: 7 Dec. 2004